CHECKMATE
4◇Printemps
「猛っ!これは一体どういう事だッ!!」
「っ………すみません。自分が安易に動き過ぎたのかもしれません」
「いや、俺の知る限り、剣持は細心の注意を払って行動していた」
20時を回った頃、チーム『S』の部屋では千葉の怒声が響いていた。
2時間程前、いつも通りにホストクラブを遠張りしようと店近くに到着した剣持。
いつもなら店の看板に灯りが点いていていい時間なのに、灯りどころか人気もなく、心配になった剣持は店前を通行人を装って通りすがると。
入口の扉には『閉店』の貼り紙が施されていた。
すぐさま千葉に連絡を入れ、地取り(周辺の聞き込み)をしてみたが、それらしい情報は得られなかった。
神保がマークしているクラブ『AQUA』は営業こそしているものの、客の出入りはお通夜状態。
まるで客を遠ざけ、警察の目から逃れるように身を隠すかの如く。
捜査にあたる人員を増やせば、それなりに捜査も進む。
けれど、人数が増えれば増えるほど人目につくのが現実。
だから、千葉は極力捜査協力を要請しない方向で進めていたのだ。
なのに、何故……?
剣持とペアを組んで2年。
剣持がどれだけ真面目に仕事をしているかぐらい千葉にも解る。
だがそれでも、現に相手に気付かれ雲隠れされたのでは元も子もない。
千葉はグッと奥歯を噛みしめ、拳を握りしめていた。
すると、