CHECKMATE


「隠れるという事は、後ろめたい事があるからで、それはすなわち、何らかの罪を犯していると言っているようなものですよね」
「…………そうだな」
「ならば、別の方法で追い詰めればいいだけの事ですよ」
「………そんな簡単な話じゃ「大丈夫です」

千葉の言葉に被せるように口を開く夏桜。
俯き加減のメンバーが一斉に夏桜に視線を向けた。

「方法は幾らでもありますから」
「…………何故、そう言える」
「私を誰だと思ってるんですか?『東 夏桜』ですよ?」

夏桜には珍しく不敵に微笑み、倉賀野愛用のノートパソコンを指差した。

「先日科警研から頂いた、顏貌識別の画像がこれです。江藤絵里さんの元恋人で、詐欺容疑の男性です。倉賀野さんが車輛照合にかかりきりだったので、私の方で調べた結果、男性の身元が判明しました」
「おい、いつの間に……」

パソコンで3D画像に編集し、千葉が美穂の取り調べを行っている間、別室で調べていたのである。

「きちんと照合の方法を倉賀野さんに教わりましたし、パソコンのデータは嘘を吐きませんから」

夏桜がニコリと微笑むと、千葉は大きく溜息を零した。
すると、夏桜は頬を引き締め、刑事さながらの表情に変った。

「B号(指名手配者照会)Z号(暴力団関係者照会)S1(非行歴照会)S2(暴走族照会)それぞれに該当者はいませんでした。ですが……」
「………何だ、早く言え」

千葉が焦らす口調の夏桜に鋭い視線を向けると、

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