CHECKMATE
「名前が違うのですが、Y号(薬物使用歴照会)で98%の確率で同一人物と識別されたのが、この男です。名前は桑原昌司(くわばら まさし)27歳、住居不明。4年前に麻薬及び向精神薬取締法違反で現行犯逮捕。初犯だった事もあり、執行猶予処分になっています」
「恐らく、偽名で詐欺行為をしてたんだろう」
「100%で無いのは、整形手術による可能性が高いです。元のデータが荒いので解り辛いですが、美穂さんの証言によると、交際当時は瞼が二重だったそうですが、逮捕当時は腫れぼったい一重でした。恐らく、脂肪吸引と全切開法により、目元がくっきり二重になった事が要因のようです」
「………なるほどな」
夏桜を取り囲むようにメンバーが顔を揃えている。
モニターには2人の男性の顔写真が映し出され、特殊な加工により鮮明に照らし合わせられている。
目と目の間の間隔、鼻の位置や鼻唇溝から口唇の間隔、顎骨格に至るまで。
そこには、98%の確率で同一人物と診断されていた。
「これが事実だとすると、再び整形手術をする可能性が高いし、累犯の可能性も十分にあるな。だから、写真を撮るのを嫌がったって訳か」
夏桜がモンタージュ写真を印刷し、メンバーに手渡すと。
「剣持と水島は、病院関係を当たってくれ」
「「はい」」
「照さんは、引き続きクラブ『AQUA』のシキテン(見張り)を頼みます」
「了解」
「三國は、鑑識の結果を急いでくれ」
「はいっ」
「疲れも溜まって来ている頃だが、気を抜かずに捜査に当たってくれ」
「「「了解」」」
剣持、水島、神保の3人が捜査へと向かって行った。
そして……。