CHECKMATE

「倉賀野は、夏桜のマンションの監視カメラの確認を頼む。恐らく、証拠隠滅を図っていると思うが、念の為に周辺の確認も頼む」
「了解です」
「俺は警視監に現在までの報告をして来るから、夏桜は報告書を書いておいてくれ」
「はい」

千葉は部屋に３人を残し、警視監室へとその場を後にした。
すると、

「三國さん、倉賀野さん。あの、折り入ってお願いがあるのですが……」

夏桜は部屋に残った２人に声を掛けた。

「はい、何でしょう？」

すぐ隣りにいる倉賀野が返事をすると、三國も顔を上げ夏桜を見据えた。

「実は………――――………」


夏桜から話を聞いた三國と倉賀野。
２人揃って顔色が曇る。

「あの、それは……班長には許可を取っているんですか？」
「…………いえ、まだです」
「何故です？」
「私の中で、まだ確信が持てないので」
「それでも、内緒にしておく訳にはいきませんよ」
「それは私も解っています」

２人が心配そうに見つめる中、夏桜は俯き加減の顔をパッと上げ、意思が固い事を目で訴える。

「とりあえず、準備だけでもして貰えませんか？」
「………準備だけなら」
「自分も、いつでも対応出来るように準備だけは施しておきます」
「有難うございます」

複雑な表情を浮かべる２人に、夏桜は深々と頭を下げた。