CHECKMATE
「三國、この薬を調べて貰えないか?」
「薬品ですか?」
「あぁ。江藤絵里が検査を強要されたという病院へ、俺と夏桜が潜入捜査をしてるんだが、アイツが俺に許可も取らずにこの薬を処方された」
「えっ?東さんは、この薬を服用してるんですか?」
「今のところは飲んでる形跡はないが、先の事は解らない。アイツが何を考えているのか、俺でさえ解りかねる」
千葉は眉根を寄せ、三國に当惑の表情を見せた。
「それから、ここにメモしてある治療に関しても詳しく調べてくれ。その病院の医師が、しきりに勧めている治療なんだが、何分、その手には疎くて……」
「解りました。直ぐに調べてみます。東さんには気付かれないようにした方がいいんですよね?」
「……あぁ、出来れば」
「了解です」
「悪いな」
「いえ」
千葉の手からメモを受取る三國。
そんな三國の肩をポンと叩き、溜息を漏らす千葉。
すると、
「あの、班長」
「ん?」
「その…………最近、東さんの動向でおかしな点はありませんでしたか?
「おかしな点?……何だ、それは」
「あっ、いや、何でもないです!俺の勘違いだと思いますっ」
「気になる事があるならハッキリ言えよ」
「うっ……、えっと、その………やっぱり、俺の勘違いですっ!」
三國は、夏桜に口止めされている事が引っ掛かり、千葉に報告していいものか悩みあぐねていた。