CHECKMATE
三國の言葉が現実のものとなった。
夏桜は今千葉の前で、理解に苦しむ行動を取っている。
千葉は夏桜の手元に視線を落とすと。
「その布は……」
「っ……」
千葉が見覚えのあるその布に視線を向けると、夏桜は咄嗟に後ろ手にそれを隠した。
そんな夏桜を一瞥し、千葉は落ち着いた声音で語りかける。
「もう終わったのか?」
「へっ?」
「何か、…………してたんだろ?」
「っ………」
「何をしてたのか大体の事は想像がつくが、何も、俺に隠さなくてもいいだろ。調べたいなら調べたいと言えばいい。別に反対はしないから。1人で出歩く事の方がよっぽど控えて貰いたいくらいだ」
「っ!…………ご、ごめんなさい」
「で?………済んだのか?」
「………あ、はい」
「んじゃあ、部屋に入るぞ」
「……………はい」
千葉は腕組みをした状態で、顎で中に入れと促した。
そんな千葉の表情を窺いながら、夏桜は肩を落とし溜息まじりに部屋に入る。
会話も無く、リビングに辿り着いた2人。
どちらともなくソファに腰を下ろすと。
「で?………何をしてたのか、話して貰おうか」
「っ……………」
下唇をグッと噛みしめ、夏桜は俯き加減で小さく息を漏らす。
「その布、鑑識で使うヤツだよな」
「…………はい」
「ドアノブを拭いていたって事は、あの部屋に何らかの疑問点でも?」
「っ…………」
苦虫を噛み潰したような顏の夏桜の頭に、千葉はポンと大きな手を乗せて。