CHECKMATE
「大体の事は、三國から聞いた」
「えっ?」
「言いたくないなら言わなくてもいい。けどな、これだけは覚えていて欲しい」
「………」
「俺はお前の敵じゃない」
「っ……」
「今までそうやって、周りにいる人間に壁を作る事で自分を守って来たのかもしれないが、俺には必要ない」
「………」
「お前がどういう人物かだなんて、俺には関係無い。国民を守るのが俺の仕事だ。それが、お前で無くてもな」
「………っ」
千葉は夏桜に心を開かせる為にカマを掛けた。
勿論、夏桜に対しての感情に偽りは無く、素直な気持ちで口にしたのだが……。
正直、夏桜が何を考えて取った行動なのか、それすら予想もつかない千葉であった。
すると、
「捜査という点に於いては素人でも、足を引っ張りたくないの。これが私のプライドだと言えばそれまでだけど、別に1人でしてるとは思ってない。ただ……」
「………ただ?」
「私がいる事で、事件が拗れてるのは確かだわ」
「はっ?」
夏桜の言葉に唖然とする千葉。
何をどう解釈したらそういう考えに辿り着くのか、千葉には理解出来なかった。
「拗れてるどころか、捜査が進んでいるように思うが」
「そう?…………私はそうは思わない」
「………どうして、そう思うんだ?」
「どうしてと聞かれても困るけど、自宅マンションが荒らされたのが証拠じゃない。私に関して、何か、見えぬ力が動いている」
「それは、お前が世界的にマークされてるからだろ?」
「それだけじゃない」
「何故、そう言える」
千葉は簡単には引き下がらなかった。