CHECKMATE
夏桜の言葉で安堵した千葉は体勢を変え、ソファの上で胡坐を掻いた。
「お前、………いい度胸してんな」
「へ?」
「刑事相手に、隠し通せるとでも思ってたのか?」
「っ………、そんな事、思っても………」
再び鋭い視線を向ける千葉。
だが、先ほどとは違い、少し悪戯っぽい笑みを浮かべている。
それが何を意味しているのか、すぐに分かった夏桜。
だが、気づいた時には既に遅し。
刑事を軽侮した訳ではない。
慎重に慎重を重ねただけ………。
だけどそんな事、言い訳にしかならない。
千葉の性格が四角四面だという事を、この生活をするようになって嫌というほど知った夏桜、返す言葉が無かった。
「それで?…………今後はどうするつもりだ」
胡坐を掻いただけではなく、長い腕まで組んで、夏桜を威嚇し始めた。
そんな千葉の表情に根負けした夏桜は、重い口をゆっくりと開いた。
「クラブに製薬会社が出入りしていること自体違和感があるでしょ?」
「あぁ。だから、猛を送り込んだだろ」
「ん」
「それで、何か手応えでもあったのか?」
剣持を送り込む際も詳細理由を明かさなかった夏桜。
それだけに、今日こそは全部吐かせようと千葉も躍起になっていた。
「これは、あくまでも私の推測に過ぎないんだけど……」
「いいから、話してくれ」
表情一つ変えず、千葉は夏桜をじっと見据えていた。