CHECKMATE
淡々と話す夏桜。
女性の口から聞くには、かなり辛い事を言わせていると千葉は少し後悔した。
けれど、夏桜は自分に置かれている状況を冷静に受け止めている
だからこそ、その口調は本人からというより、医師から説明を受けているかのようだった。
「話を戻すわね」
「………ん
「絵里さんの話からすると、同僚のホステス達も、私と同じ線を辿っていた事になるの」
「というと……?ホステス達は………独身だよな?」
「だから、何て言えばいいのかしら?そうね、刑事用語でいうなら、物凄~く臭うってやつよ」
夏桜は千葉のパソコンの電源を入れる。
夏桜に促され、千葉はパスワードを入力すると、夏桜はバッグから取り出したUSBを差し込んだ。
「これを見て」
倉賀野が画像編集したクラブ『AQUA』の内部映像。
煌びやかな店内からスタッフルームと思われる個室に映像が切り替わった。
千葉は目を凝らしてモニターを見ていると、スタッフルームの片隅に置かれている冷蔵庫へと。
剣持の手によって、次々とサラダやうどんのようなものが入れられている。
「あいつは何をしてるんだ?」
思わず心の声が漏れ出した、その時!!
夏桜は停止ボタンを押した。
「剣持さんは食事の買い出しを頼まれたらしく、買って来た商品を冷蔵庫に入れてるの」
「で?
「今から映るものをよく見てて?本当に一瞬しか映らないんだけど、冷蔵庫にはちょっと違和感のあるものだから
「何?!
千葉は夏桜の指示通りモニターに視線を固定すると、夏桜は静かに再生した。
すると、商品を入れ終わった剣持が、扉を閉めようと顔を横に振った瞬間、扉の内側にあるドアポケットの上部に白い箱が映った。