CHECKMATE
あくる日、チーム『S』の部屋では、これまでの状況把握と今後の捜査方針の打ち合わせが行われていた。
「………―――………という事だから、剣持と倉賀野は日曜日に病院に潜入出来るように入念に準備をしてくれ」
「はい」
「了解です」
「水島と照さんは、病院に出入りしているホステスがいないか調べてくれ」
「了解」
「了解です」
「三國は、調べたいことがあると言っている東をちょっとフォローしてくれないか?」
「はい、了解です
「俺は仙堂の足取りを追う。各自、気を抜かすなよ?!
「「「「了解」」」」
千葉達は気合を入れて円陣を組む。
それぞれに右手を円陣の中心に差し出したかと思えば、12個の瞳が夏桜を捉えた。
「あぁ~ハイハイ、私もすればいいんでしょ?」
団体行動が苦手な夏桜。
団結やら協力やらといった空気感は特に苦手で、空気を読むのも疎い。
だが、彼らと共に過ごすうちに少しずつ馴染んで来たのも事実であった。
遺体で発見された桑原の死因は、やはり薬物による中毒死であった。
科警研の報告によると、塩酸ペンタゾシンという成分が血中に大量残留していたという。
塩酸ペンタゾシンは麻酔薬としてよく使われる薬品だ。
医療関係者なら容易に入手出来ると睨んだ千葉。
例の婦人科との関連も踏まえて、詳しく調べることにした。
*****
「三國さん、折り入ってお願いがあるんですけど……」
「…………はい、何でしょうか」
他のメンバーが出払ったのを見計らって、夏桜は三國に声を掛けた。
前回の事もあり、三國は動揺した。
もしかして、またもや『千葉に内緒で』とでも言い出すのではないかと。