CHECKMATE


「では、我々は2階を清掃・消毒してますので、終わりましたら声を掛けて下さい」
「はい、分かりました」

事前に根回ししておいた事もあり、疑われることなく2人きりになった。

剣持は倉賀野にアイコンタクトを取ると、倉賀野は受付の電源を拝借して、自前のパソコンでいとも簡単に1階部分の通信機器にハッキングした。

「OKです」

誰かに聞かれるか分からぬ為、必要最低限の会話を心掛けている2人。

倉賀野の合図で、剣持は院内奥へと進む。
倉賀野は通信機器を操り、防犯カメラを一時的に停止させていた。

そして、すぐさまデータ管理をしているパソコンに侵入し、厳重に暗号化されているファイルが無いか、チェックし始めた。

その隙に剣持は、夏桜から指示されていた培養室に潜入する。
入口のパスワードも既に倉賀野が暗号化を解いてある為、いとも簡単に入ることが出来た。

そして、部屋の何か所かに超小型カメラを設置し、部屋を後にした。
更に処置室脇の休憩室にも超小型カメラを設置した。

先日夏桜が処置室にいた際に、休憩室が隣にあることが判明したから。
そこから、今回の院内清掃の話が漏れていたのだ。

「どうだ?」
「後5分」
「了解。俺は向こうに」
「了解です」

剣持は正面入り口脇の待合室に向かった
そこにも幾つかの超小型カメラを設置した。

再び倉賀野のもとに戻ると、ちょうど終わった所のようだ。

「完了です」
「お疲れ。……じゃあ、2階に挨拶してくるな?」

今回の定期点検は新人研修という事になっている為、点検してなくとも支障は無い。
2人は早々にその場から撤収した。

向かった先は…………。

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