CHECKMATE
「幾らした?」
「えっ?」
「コレを幾らで買ったのかと聞いている」
つんけんした男の態度にカチンとくるものの、無視した所で追いかけて来そうな感じがしたので、夏桜は仕方なく答えた。
「400円ですけど?それが何か?」
「はっ?………たった400円?!」
「えっ?」
夏桜にとって、それが400円なのは高いと思っていた。
オーガニックでなければ100円にも満たないそれは、海外からのお取り寄せという事もあり、手数料も兼ねての対価だと思い支払った額である。
それを、目くじら立てて驚く事であろうか?
夏桜は不思議で堪らなかった。
男はお取り寄せの品を手にして、溜息を何度も零している。
夏桜は他の荷物を全て拾い上げ、鞄に入れた。
「あぁ~あ、お気に入りのバッグだったのに……」
夏桜は白いトートバッグに付いた汚れを手で落とそうと必死だが、布製のそれに付いた汚れは手で払ったくらいでは落ちなかった。
「あの、それ……返して貰えますか?」
「え?」
夏桜は男が手にしている袋を指差した。