CHECKMATE
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「照さんっ、それ本当ですか?!」
『あぁ、今さっき仙堂の子分数人が倉庫に出入りしているのをゲンニン(現場で現状確認)したところだ』
「今から行きます!一人じゃ見つかったら危険ですので、身を潜めてて下さいっ!」
『分かってるって』
「では、ゲンチャク(現場に到着)したら連絡しますね」
『あいよ』
千葉は神保からの電話を切ると、急いで警視庁内にあるセンターを飛び出した。
「猛っ、照さんが本牧埠頭で仙堂の子分が番をしてる倉庫を見つけたから、俺は今から向かうことにした。悪いが、俺が戻るまで、東のことを頼む」
『あ、はい、了解です。夏桜さんは今、例の病院ですか?』
「いや、今日は受診日じゃないから本庁にいる」
『では、もう少し調べたら本庁に迎えに行きますね』
「おぅ、頼むな」
『一輝さん、くれぐれも無茶しないで下さいね』
「フッ、…………切るぞ?」
千葉はスマホをポケットにしまい、愛車を発進させた。
一方、警視庁のとある一室にある特殊捜査チーム『S』の部屋では、夏桜が険しい表情で婦人科の納品記録をチェックしている。
「東さん。俺、小腹が空いたんでちょっとコンビニに行って来ます。何か欲しいものとかあります?」
「あ、ううん、私は大丈夫です」
「そうですか?じゃあ、行って来ますね」
部屋に夏桜を残して、三國は歩いてすぐのコンビニへと向かった。
目を皿にして隅から隅まで調べてみても、結局納品記録を見た限りでは水増し請求などは行われていない。
裏帳簿のようなものがあるとすれば、別ファイルを入手する以外、方法は無さそうだ。
溜息まじりに卓上のメモを片付けようとした、その時!!
急にパソコンがダウンした状態になった。
パソコンの電源は入ったままなのに、モニターは真っ黒。
しかも、マウスもキーボードも操作不能。
夏桜は不思議に思い、一旦パソコンを再起動しようとした次の瞬間、戦慄が走った。