CHECKMATE
見るからに真面目そうな女性である。
肌は白く、眼鼻立ちは整っている。
化粧はしていないようだが、十分に綺麗だと千葉は思った。
「これは、今回が初めてか?」
「へ?」
「前にもあるのかと聞いてるんだ」
「………いえ、無いですけど」
「…………はぁ~」
「ちょっと、一体何なんです?」
女は嫌悪感を露わにしたが、千葉が刑事だという事を知らない。
千葉の手に握られている白い粉が、大きな事件の引き金になる事を彼女は恐らく知らないであろう。
職場の先輩に誑かされ、『天然ハーブは効き目も抜群』とでも言い包められたのだろうと察した千葉。
「これは証拠物として押収する」
「………はい?」
キョトンと目を丸くした女。
千葉の発した言葉の意味が解らない様子である。
千葉はゆっくりと立ち上がり、そして、彼女の腕を掴んで立たせた。
「これは……今、巷で問題になっている脱法ハーブだ。さっき、俺を追って来た男2人組は暴力団絡みで、別件で俺が追っている一味の者だ。これ以上の事は言えないが、これは事件の関連性も兼ねて押収する」
真剣な表情で説明した千葉に、