CHECKMATE
30分程経過すると、視線の先の倉庫から数人の男が姿を現した。
「出て来たな」
「……はい」
男たちは倉庫に鍵を掛け黒塗りの車に乗り込み、市街地の方へと向かった。
暫く辺りの様子を窺い、戻る気配の無いことを確認した2人は、男たちが出て来た倉庫へと。
神保は周辺に監視カメラが無いことを確認し、千葉は特殊な機材を取り出した。
「用意がいいな」
「もしもの時の為に、倉賀野に用意させたんですよ」
「フッ、さすがだな」
「とんでもないです」
千葉は謙遜しつつも、素早く探知機が設置されているか確認する。
「照さん、何もありませんね」
「そうか。………中は確認出来ないよな?」
「ちょっと待って下さいね」
埠頭にはコンテナを保管する大型倉庫が一般的だが、2人の目の前にある倉庫は埠頭の端にあり、それほど大きくはない。
セキュリティーの有無から考えても、ここに密売品が保管されているとは考えにくいが、それでも何も確認せずに帰途に着く訳にはいかない。
千葉は倉庫の壁伝いを奥へと進む。
すると、頭上の高さの窓が半開きであるのに気が付いた。
「照さんっ!」
千葉の声に反応するように駆けつけた神保は、千葉の指差す先を確認すると、片膝をついた。
「俺には無理だから、確認して来てくれ」
「了解です」
神保の掌の上に足を掛けると、神保は千葉を窓へと持ち上げた。
千葉は窓枠に手を掛けよじ登り、体を内部へと滑り込ませた。
窓からの明かりしかない倉庫内をスマホのライトを頼りに調べ始める。
所々スマホのカメラで内部画像を保存しながら進むと、入口右側に小部屋を発見した。
けれど、小部屋には鍵が掛かっていて中に入ることが出来ない。
大きさにして、10帖ほど。
セキュリティー探知機は設置されていないものの、特殊機材が無ければ中を確認することが出来ない。
仕方なく、千葉は神保の元へと戻ることにした。