CHECKMATE
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「ここだ」
スマホのナビで表示された建物が目の前にあり、夏桜は大きく深呼吸した。
以前に一度だけ、ここに来たことがある。
ここは、河村真希行きつけの女性限定サロン。
フェイスやボディーは勿論のこと、ネイルやヘアーメイク、更にはレストランも完備しており、体の内側と外側の両方を綺麗にすることが出来る施設。
お洒落にはあまり興味が無い夏桜は、真希に勧めれて一度だけ訪れたことがあった。
「ようこそ、いらっしゃいませ」
白いスーツを着た女性に出迎えられ、夏桜はスマホの画面を見せる。
「河村様のご紹介ですね。ご案内致します」
昨夜受け取ったメールに、サロン無料体験のクーポンが添付されていた。
夏桜はスタッフの誘導で3階の個室に通され、サロン用のガウンを手渡される。
身支度が済むと、真希がいるフェイスサロンの個室に移動した。
「真希先輩」
「ん」
既にパックが施された真希は片手を上げ、合図する。
前回来た時にカウンセリングは受けている為、30分のお試しコースをすることになった。
夏桜が終わった頃にはメイクも仕上がっている真希。
華やかな中にキリっとした印象の彼女は、ワインレッドのメガネフレームがよく似合う。
「ここの料理、ヘルシーで美味しいの」
「よく話してましたもんね」
ナチュラルメイクを施して貰った夏桜は、真希と共に2階のレストランへと移動していた。
メニューには美肌コース、アンチエイジングコース、ローフードコースなど、女性なら誰しも気になるような事が書かれていて、真希はアンチエイジングコース、夏桜は美肌コースを注文した。
「ん、これって硬水の炭酸水ですよね?」
「そう。美肌にいい硬水が、消化機能を促進し疲労回復も促す上、ダイエット効果もあるしね」
「それプラス、レモンのビタミンCで吸収力が増しますしね」
一口飲んだ夏桜はグラスを少し傾け、輪切りのレモンを見つめた。