CHECKMATE
「アハハハッ。ちょっと、ドラマの見過ぎじゃない?」
「は?」
「いきなり何を言い出すかと思えば、押収?令状もなく押収するなら強制力は無いから、断れるわよね?」
「はっ?!」
女は嘲笑するかのように口元を押さえた。
女の態度は至って堂々としている。
千葉は、自分の言葉をさらりとかわす所からみて、かなり手慣れていると感じた。
今回が『初めて』と言った筈だが、もしかしたら別のもので常習性があるのかもしれない………千葉はそう睨んだ。
千葉は仕方なく、ポケットの中を探る。
「ん?…………あれ?」
「えぇ~、何なに?今度は何なの~?」
さも小馬鹿にしたような口調で千葉の様子を窺う女。
千葉は慌ててポケットの中を探るが、目当ての物が見つからない。
「………あっ、しまった!!いつもの上着じゃないから………。クソッ!!」
千葉は舌打ちをして、髪を掻き乱した。
千葉が探している目当ての物とは、警察手帳である。
それを見せれば身分が明かせると踏んだ千葉だが、手帳が無ければ話にならない。
「イケメンのお兄さんは何をお探しかしら~?」
「チッ」
「これは、わ・た・し・の・も・の………よね?」
女は千葉の手から、袋に入った白い粉を取り上げた。