CHECKMATE


夕食を食べ終えた2人は、いつもと変わらずリビングのソファーに腰を下ろす。
3人掛けのソファーの端と端に……。

数分が経過し、口を開いたのは千葉だった。

「昼間は、一体何があったんだ?」

千葉はテレビを観ながら飲み干したビール缶を片手で潰した。
そんな千葉に説明する為、夏桜は部屋から自身のタブレットPCを手にして戻って来た。

「口で説明するより、見た方が早いわ」

前日に自身も目にした映像を千葉に見せる。
思いがけない映像に、千葉は動揺を隠せずにいた。

「これは一体どういうことだ?」

自分の目を疑うかのように、千葉は目を凝らす。
そんな千葉に真希の事情を説明した上で、それとなく闇の組織が近くにいることを示唆した。

「これって、このマンションだよな?」
「…………ん」
「どうやって………ここが?」
「ごめんなさい、それは………」

夏桜は、確信を得るためにマンションの住所が書かれたメモを三國を通して真希へと渡ることを図っていた。
それにより、決定的な証拠が目の前にある訳だが……。

「ってことは、……この部屋か?」
「ううん、隣の部屋」
「あ………」

こういう展開になることも予想していた夏桜は、予め隣の部屋に仕込んでおいた。

「今から一緒に確認に行くでしょ?」
「あぁ、勿論」

2人は重い腰を上げ、隣の部屋へと向かった。

三國から借りている鑑識用の一式。
夏桜は慣れた手つきでドアノブとその周辺を調べる。

すると、案の定、何者かが触れた痕跡があるが、当然指紋は検出されず。
2人は顔を見合わせて、部屋の中へと。

案の定、室内は荒らされていた。
元々、物が多くない部屋だけに、それほど荒らされている感じではないが、明らかに家具の位置がずれている。

夏桜は再確認する為、ALS-科学捜査用ライトを床に照らした。

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