CHECKMATE
千葉の手から袋を奪った女はそれを鞄に入れ、小さく溜息を零した。
「もう、私は帰ってもいいですよね?」
「…………あ、はい」
「今度同じ事したら、絶対訴えますよ?」
「……………はい」
「それと……」
「………ん?」
女は鞄の中から小さなポーチを取り出し、その中からとある物を取り出した。
「これ、使って下さい」
「へ?」
「私が思いっきり殴ったから、チャームが当たってここが切れてます」
「……え?」
女は自分の左頬を指差した。
千葉は女に言われた自分の頬に指先を当てると、ピリッとした痛みが走った。
「ッ!?」
「これでおあいこですからね?」
女はぺりっと紙を剥がし、千葉の頬に絆創膏を貼ったのである。
「じゃあ、私はこれで」
女は軽く会釈し、大通りへと歩き出した。
「くっそーッ!!今日に限って何でねぇんだよッ!!」
普段なら肌身離さず持ち歩いている代物なだけに、千葉はかなりショックだったようだ。