CHECKMATE

『移動速度から言って車で移動中と思われます。携帯電話が繋がらないので、拉致されたのでしょうか?』
「恐らくな」

Bluetoothで倉賀野とやり取りをする。

昨夜、夏桜との会話をふと思い出していた。
『他に、隠してることは無いよな?』
『……………ん』

返答にかなりの間があった。
それが気になっていた千葉。

尋ねた所で素直に話すような夏桜でないことは重々承知している。
自身の身を危険に晒してでも、データを守り抜こうとしていることがあるだけに、千葉は不安で仕方なかった。



GPSの移動が停止したのは、本牧埠頭。
少し前に神保と偵察した倉庫があるところだ。

「倉賀野、埠頭のどの辺りか詳しく調べられるか?」
『今やってます』

辺りに怪しい車や人影が無いか注意しながら探していると。

『今、班長の携帯にデータ繋ぎました』
「サンキュ」

千葉は携帯に送られて来た位置情報を確認する。
すると、50メートルほど先の場所でGPSが止まっているのが確認できた。

「一応、現状をメンバーに伝えてくれ」
『了解「待って!」』
「どうした」
『あの、……その』
「何だ、はっきり言え」

真希はすぐさま手帳を取り出し、メモを始めた。
そこには、千葉の携帯もハッキングされている恐れがあると。

それを見た倉賀野は状況を把握し、メモに何やら書き始めた。
そして、別のパソコンでカタカタと物凄い速さで入力し始めると。

「ッ?!………了解」

千葉が乗っている車のナビ画面にデータを送り込んだ倉賀野。
携帯が駄目ならせめてナビにでもと思ったのだ。

ナビのモニターには、『スパイが携帯をハッキングしてるから、こちらで対応する』と。

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