CHECKMATE
9♢命の代償


タクシーに乗った夏桜は、ジョアンのお勧めのレストランに向かっていると思っていたら、10分経ってもタクシーは止まらず。
どこへ向かっているのか尋ねても、首を振るばかりで行き先も分からず。

窓の外の景色を眺め、現在位置を把握しようとした、その時。
ハンカチが口元に当てられ、ものの数秒で意識を手放した。

夏桜を乗せたタクシーは国道15号を川崎方面へと真っすぐ南下。
夏桜の鞄の中から携帯電話を取り出し、ジョアンは電源を切った。

そして、その鞄ごと運転手へと手渡す。

「ナオサン ゴメンナサイ」

ジョアンは涙交じりに両手を合わせた。

タクシーが信号待ちで止まると、後部座席のドアが開いた。

「降りろ」

運転手に言われ、ジョアンは仕方なくタクシーを降りる。
中に夏桜を残して、タクシーは発進した。



タクシーが完全に停車したのは、横浜の本牧埠頭。
タクシーの周りには厳つい男が数名。

後部座席のドアが開くと、大柄の男が夏桜を担いで運び出す。

完全に薬を嗅がされ意識を失っている夏桜。
下ろされた場所は、とある倉庫の中。

「データがあるか、確認しろ」

白髪交じりの男が指示を出すと、手下と思われる男たちが夏桜の鞄と夏桜の衣服を調べ始めた。

「どこにも見当たりません」
「縛り上げろ」

意識を失っている夏桜は縄で身動き出来ないように縛られた。

「下に連れて行け」

再び指示が出され、大柄の男は夏桜を担ぎ上げる。
すると、別の男が倉庫の中にある小部屋の鍵を開けた。

男たちが中に入ると、1人の男が床の一部を持ち上げた。
そして、梯子を使って男たちは中へと入ってゆく。

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