CHECKMATE


床下から出た男達は、夏桜の鞄からタブレットPCと携帯電話を取り出し調べ出した。

「データらしきものは見当たりません」
「クソッ」

リーダー核の男は仙道に海に投げ捨てるように指示を出し、倉庫を後にした。


夏桜の見張り役の男が3人。
倉庫内にある木製パレットの上に座り、携帯をいじり始める男もいれば、小型ナイフを振り回す男もいる。

指示があるまで待機しているようだ。



「メンバーの位置情報を確認して、班長に」
「了解」

真希は自身の命の危険も承知で、夏桜と千葉のフォローをすると昨夜腹を決めた。

夏桜がデータを渡さなければ、結果は同じ。
ならば、出来るだけ夏桜の為に動きたかったのだ。

踏み入れてしまった事への後悔は尽きない。
けれど、だからこそ、夏桜の気持ちが始めて分かった。

命を追われる身の恐怖を。

『班長、腕時計はハッキング出来ないように設定しました』
「サンキュ」
『位置情報送ります』

倉賀野から渡されていた特殊アイテム。
位置情報を知らせるだけでなく、録音機能や動画機能も搭載されている。
更には音声変換装置も搭載されているし、パソコンのように撮った画像などを送る事も出来る。

時計に送られて来た位置情報を元に、千葉は慎重にその場所へと向かう。
すると、先日潜入した倉庫から男が4人出て来た。

すぐさまその男らを撮影し、倉賀野に送信する。

「ゲンチャク(現場に到着)、1人は仙道。残りは当たってくれ。今からゲンニン(現場で現状を確認)する」
『了解。画像の男の身元を割り出します』
「頼む。あっ……」
『どうかしましたか?』
「仙道が夏桜の鞄を海に投げ捨てた」
『チャームの方だと思いますが、今途絶えました』
「ん。……残りはまだ生きてるか?」
『はい、2つの発信を受信してます』
「了解」

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