CHECKMATE
床下から出た男達は、夏桜の鞄からタブレットPCと携帯電話を取り出し調べ出した。
「データらしきものは見当たりません」
「クソッ」
リーダー核の男は仙道に海に投げ捨てるように指示を出し、倉庫を後にした。
夏桜の見張り役の男が3人。
倉庫内にある木製パレットの上に座り、携帯をいじり始める男もいれば、小型ナイフを振り回す男もいる。
指示があるまで待機しているようだ。
*
「メンバーの位置情報を確認して、班長に」
「了解」
真希は自身の命の危険も承知で、夏桜と千葉のフォローをすると昨夜腹を決めた。
夏桜がデータを渡さなければ、結果は同じ。
ならば、出来るだけ夏桜の為に動きたかったのだ。
踏み入れてしまった事への後悔は尽きない。
けれど、だからこそ、夏桜の気持ちが始めて分かった。
命を追われる身の恐怖を。
『班長、腕時計はハッキング出来ないように設定しました』
「サンキュ」
『位置情報送ります』
倉賀野から渡されていた特殊アイテム。
位置情報を知らせるだけでなく、録音機能や動画機能も搭載されている。
更には音声変換装置も搭載されているし、パソコンのように撮った画像などを送る事も出来る。
時計に送られて来た位置情報を元に、千葉は慎重にその場所へと向かう。
すると、先日潜入した倉庫から男が4人出て来た。
すぐさまその男らを撮影し、倉賀野に送信する。
「ゲンチャク(現場に到着)、1人は仙道。残りは当たってくれ。今からゲンニン(現場で現状を確認)する」
『了解。画像の男の身元を割り出します』
「頼む。あっ……」
『どうかしましたか?』
「仙道が夏桜の鞄を海に投げ捨てた」
『チャームの方だと思いますが、今途絶えました』
「ん。……残りはまだ生きてるか?」
『はい、2つの発信を受信してます』
「了解」