CHECKMATE



逮捕令状が発布され、剣持はそれを神保に託した。
神保は水島と警視庁の警官を引き連れ、矢沢友美が院長をしているレディースクリニックへと向かった。

剣持は倉賀野から連絡を貰い、すぐさま千葉と合流する為に指示された本牧埠頭へと。
帯革姿(警棒や拳銃を吊るすベルト姿)の上に革ジャンを羽織り、車に乗り込んだ。

これまでも、何度も千葉と危険な橋を渡って来た。

連続殺人鬼の犯人と格闘する千葉を援護する為にライフルで犯人の肩を打ち抜いた事もある。
SAT(特殊急襲部隊)を引き連れて、人質立て籠もり事件に突入した事もある。

それだけに、千葉とは一蓮托生のような特別な絆を持っている。



千葉は倉庫の横になる死角部分に身を隠す。

先日倉庫に偵察に入った時に窓を僅かに開けておいたのだ。
その窓に指をかけると動くことを確認した。

その窓枠に手を掛け、懸垂するかのように体を持ち上げ、中の様子を窺う。
物が殆どない倉庫だからこそ、中の具合がどんな感じなのかすぐに分かった。

この倉庫は密輸する為であっても、荷物を隠すような大型コンテナ用の荷を置く倉庫ではない。
集まる為のアジトのような場所なのか?と千葉は考えていた。

倉庫の中をざっと確認したが、夏桜の姿はない。
けれど、時計の位置情報はこの倉庫内を示していた。

先日、鍵がかかっていて中に入れなかった小部屋に視線が留まる。
あの中に夏桜がいるか、靴だけこの倉庫内にあるか。

前者であって欲しいと切に願った。

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