CHECKMATE
「夏桜、夏桜っ、聞こえるかッ?」
「……んっ……ッん…」
自身の手に息を吹きかけ温めた手で夏桜の頬を包み込む。
真っ青な唇が痛々しく、死んでしまうのではないかと気が気でない。
辛うじて呼び掛けに答えた夏桜。
「剣持、夏桜は発見した。救急車の手配を頼む」
『了解』
剣持がすぐさま救急車を手配した、次の瞬間。
『班長っ』
「どうした、猛」
『仙道たちが戻って来ました』
「何っ?!」
『倉庫前に車を横付けしました。指示下さいっ』
「倉庫内に入ったタイミングで車処理しとけ」
『了解』
「夏桜っ、しっかりしろっ」
目の前の夏桜はぐったりしていて、とても自力で逃げれそうにない。
倉庫の入口は1つ。
千葉1人なら窓から逃げることも出来るが、夏桜を背負っては無理というもの。
荷物が無い倉庫だけに、隠れる場所もない。
千葉は仕方なく、ホルスター(拳銃入れ)から拳銃を取り出し、トリガーに人差し指を掛け身構えた。
すると、入口から男が4人。
1人は仙道。
もう1人はブロンドヘアーからして、エダー。
残りは仙道の手下2人。
千葉が銃口を向けていることもあり、仙道たちの足がピタリと止まった。
「またお前か」
「悪かったな、俺で」
千葉と仙道は面識がある。
というより、千葉はずっと仙道を追っているのだ。
「その女を連れて帰るつもりか?」
「悪いな、お前にはやれん」
「単身で乗り込んで来るとはいい度胸だ」
「お前に褒めて貰っても嬉しくも何ともない」
「フッ」
仙道が拳銃を取り出し、銃口を千葉に向ける。