CHECKMATE

「猛、聞こえるか」
『はい、待機してます』
「周りを確認して、待機しろ」
『了解』

剣持にだけ聞こえるように小声で呟く。
剣持は慎重に倉庫周りを確認して、SATに突入待機を命じた。

「お前のは5連、俺のは8連」
「命中するとは限らないだろ」
「俺の腕を見くびるな」

警察官に与えられる拳銃は5連のもの。
弾数から言ってもかなり不利がある。

すると、仙道の背後にいるエダーが姿を現した。

「Give me your data and I will save your life.」(データさえ渡せば、命は助けてやる)

千葉は片方の口角をキュッと持ち上げ、軽く嘲笑う。
エダーの言葉が分からないわけじゃない。
お前の要求をのめないと態度で示したのだ。

「No data. I heard it was disposed of …」(データはない。処分したと聞いている)

千葉は冷静に言葉を紡ぐ。
夏桜と事前に口裏を合わせてあるからだ。

それでも、千葉の言葉を信じようとしないエダーは鋭い視線を向けている。
諦めるつもりは無さそうだ。

言葉で諭しても無理なら武力行使しかないと決めたのか、エダーもまた拳銃を取り出し千葉に銃口を向けた、次の瞬間。

「If you hurt ……him…… i won't…… forgive…… you.」(彼に危害を加えたら、ただじゃおかないから)

震える手を千葉の前に差し出して来た。

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