CHECKMATE
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『面会謝絶』とまだプレートが掛けられている部屋のベッドに夏桜の姿がある。
体調はだいぶ良くなったが、念には念を入れて、ドアの前に警察官を2人配備してある。
「体調はどうだ?」
「だいぶ良くなって来たわ」
2日ぶりに訪れた千葉。
一昨日よりだいぶ顔色がよくなったように見え、安堵の溜息を溢す。
「一輝」
「ん?」
「ジョアンはどうなったの?」
「ジョアンに限らず、クリニックに関連した人やクラブなどに関与した人は一応聴取を取ってる」
「………そう」
夏桜はジョアンの事が気がかりだった。
故郷の家族を話した時の彼女の瞳は嘘を吐いてる感じには見えなかったからだ。
取り調べの経過を伝え、少しでも夏桜の負担を軽くしたい千葉は、丁寧に言葉を選んで説明した。
「私はこの後、どうなるの?科警研に戻れる?」
「……組織が壊滅したら、恐らく戻れると思うが」
「………そうね」
千葉に聞いた所で判断するのは上の人。
彼を問い詰めたところで結論が出ない事を重々承知している。
それに、千葉に対しては……。
『命に代えても守ってやるから――俺の傍から離れるな』
愛の告白とも思えるような言葉をかけて貰った。
それが、責任から来る言葉と分かっていても、どうしても思考がトランス状態に陥ってしまう。
「あまり深く考えるな」
優しい眼差しで頭を撫でられては、動揺だってするし、勘違いしてしまいそう。
恋愛なんてもう十年くらいしていない夏桜。
だからこそ、この感情が正常に機能しているのか、不確かであった。