CHECKMATE
自然と絡み合う視線。
掴む彼女の手が僅かに震えているように感じた。
気を遣ってしれくれたことは理解している。
だけど、目の前の彼女の表情を目の当たりにして、動揺を隠しきれない。
夏桜は頬を赤らめ、俺の視線から逃れようと視線が泳いでいる。
更には、俺の手から逃げようと手をきつく握り、引き寄せようとしている。
俺の勘違いだろうか?
まさかとは思うけど……。
こういう表情って、好きな男にするもんじゃないのか?
いや、うん、違うよな。
夏桜に限って、それはないよな。
だけど、掴んでない方の手がぎゅっと布団を握りしめているのに気づき、淡き期待をしてしまう。
彼女に好意を抱かれているんじゃないのかと。
掴んでいる手を離すと、物凄い勢いで引っ込めた。
そして、深呼吸するみたいにして視線を俺から完全に逸らした。
「夏桜」
「っ……」
俺の声に体をビクッと震わせた。
そんな態度取られたら、勘違いするだろ。
スツールから腰を上げ、ベッドに手をついて……。
「ッ?!………何っ?」
ますます紅潮する彼女。
そんな彼女の顎を掴んで振り向かせる。
「何、怯えてんの」
「べ、別にッ……」
「そういう顔したら、勘違いするぞ?」
かまをかける為に耳元に囁きかける。
すると、物凄い勢いで彼女は横になり、布団を頭から被った。
「フッ……マジかよ」
恋愛や世事には疎いと知っているだけに。
彼女の行動を目の当たりにして、淡い期待が少しずつ色濃くなってゆく。
「夏桜」
「……仕事忙しいでしょっ!仕事戻っていいからっ」
「そんなこと言われたら、ますます行けなくなるだろっ」
俺は容赦なく布団を捲った。