CHECKMATE
隠れる場所を失った彼女は、少女漫画に出て来そうなほど動揺し出した。
そして、俺の視線に耐え切れなくなったのか、両手で顔を覆った。
そんな彼女に近づき、顔を覆う彼女の手を剥がし、ベッドに張り付けた。
「見ないでっ」
ぎゅっと目を瞑る夏桜。
照れる彼女が可愛すぎる。
「夏桜」
「っ……」
「目、開けて」
「無理っ」
「いいから、俺を見ろ」
「………ッ…」
観念したのか、ゆっくりと瞼が開いた。
そして、瞳の奥を推し測る。
「俺、……自惚れてもいいのか?」
「っ………」
再びぎゅっと瞑った夏桜。
数秒して、小さくこくりと頷いた。
淡い期待は色濃く色づき、今しっかりと塗り固められた。
ベッドに張り付けていた手を離し、優しく頭を撫でる。
再び顔を両手で隠してしまった夏桜。
そんな彼女の手の甲にキスを落とす。
「また明日来るから、ゆっくり休め」
「っ……」
可愛い。
反応が中学生かってくらい新鮮。
まいったな。
髪を掻き乱しながら、千葉は病室を後にした。
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数日後。
夏桜から機密データが入ったチップを取り出す手術が行われる。
千葉は夏桜の事を考え、白星会大学病院の胸部外科医である環 彩葉医師(女医)に執刀して貰うことにした。
女医であれば、胸の傷を僅かでも小さくしてくれるのではないか?という安直な考えと、女医であれば胸を見られても多少なりとも心の負担が軽く出来るのは?と。
「行って来ます」
「ん」
手術室へと入る夏桜の手をぎゅっと握り、送り出した。