CHECKMATE
「私の中の一輝は日に日に大きくなるから消したくても消えそうにないのっ!」
「っ………」
「今日が最後なのは分かってる。だから……」
夏桜を泣かせてしまった。
確かに、年下なのにハッキリ言う物言いとかイラっとする時もあるけど、それが魅力な部分だと思うし。
十分美人だと思うし、スタイルもいい方だと思う。
水島や剣持といった、遊び慣れてる奴らが美人だと認めるくらいだから、俺の目も節穴じゃない。
確かにお洒落や遊びといった点では経験値が足りないかもしれないけれど、遊び慣れてる女の方がいい男なんているのだろうか?
傷……。
夏桜が言うように傷を見る度に事件の事は思い出しそうだけど。
それ以上にその傷を見たら、目の届く場所に置いておきたくなる。
だから、この今ある垣根を飛び越えていいものか。
「夏桜」
「………何」
「俺、結構独占欲強めだけど」
「………え」
「それに、前に猛が言ってただろ。俺は女に優しくないタイプだって」
「……一輝は優しいよ?」
「フッ、そう思ってられるのも、今のうちだぞ」
ソファーの背もたれに手をつき、隣の彼女にじりじりと攻め入って。
お酒が入ってるから手加減出来なそう……。
まぁ、いいか。
「水島や剣持が恋人立候補するくらいだから、美人だって自覚しろ……?」
「っ……」
「それに、甘え?……そんなもの無くたって、俺をその気にさせる方法は幾らでもある」
「ッ?!……っ……」
完全に追い詰めた状態。
俺の圧に負けた彼女は、逃げ場を失ってソファーに倒れ込んだ。
その彼女の両脇に両手をついて、どこにも逃げれないように見下ろして―――。
「CHECKMATE」
「っ……」
「お前の負けだ」
「っっっっ~~……んっ……」
紅潮させた彼女の唇を塞いだ。
これ以上自虐のセリフが出て来ないように。