CHECKMATE
絡まる指先に。
涙が溜まる目尻に。
赤く染まる耳に。
仰け反って露わになる首に。
見悶えして震える肩先に。
羞恥でぎゅっと閉じられる膝頭に。
刺激を感じて力の入った足先に。
俺から逃れようとする腰骨に。
俺を無意識で煽る背中に。
きゅっと締まる腹部にある愛らしいお臍に。
俺の視界を遮ろうとする手の甲に。
もう限界と伝えようと掴まれる指先に。
声にならない声で呼ぼうとする唇に。
―――――そっと口づけて。
「そろそろいいか?」
「ふぇっ?!」
「俺、限界なんだけど」
「っっっっ~~ッ……」
朦朧としてる彼女に最終警告をしてみた。
だって、このままじゃ生殺しだろ。
「さっきも言ったけど、俺、優しくないぞ」
「っ……」
「狙った獲物は逃さないから」
「ッ?!!!!」
元々女性だからと気を遣う性格じゃない。
黙ってたって女は寄って来る。
だから、いちいち相手してたら面倒で。
培ったスキルは相手の手の内を逆手に取る方法。
心理的方法と行動的方法と。
だけど、目の前の夏桜にだけは、無意識に気を遣う俺がいる。
彼女が抱えていたバックグラウンドがあるからなのか。
彼女の性格や仕草がそう思わせるのか。
分からないが、彼女が嫌がることはしたくないと思ってしまう。
今までの女なら、そんなこと考えもしなかったのに。
面倒になったら速攻で縁を切って来た俺にとって。
東 夏桜という人物は、切っても切れない縁のようなものを感じる。
これが世にいう『愛』なのか、分からないが。
今はこの感情に少しずつ色付けをしていければ……。