CHECKMATE


千葉の手から奪い取るようにして手に取った彼女。

躊躇うことなく袋を開け、その白い粉を横たわる女性の口内に塗り始めた。

「おいっ!!何してんだよッ!!」

千葉は動揺を隠せない。

幾ら合法とは言え、身体に害のあるような物を、事もあろうか倒れた人間に使うとは……。

千葉は無意識に彼女の腕を掴んだ。

「何してんのッ?!」
「何って、アンタの行動を阻止してんだよ!」
「はぁ?……ちょっと、今、この女性の命がかかってるのよ?訳の分からない事を言うのはやめてよ」
「俺は至って正気だ」

真剣な表情で彼女を見据えると、一瞬首を傾げた彼女が思わぬ事を口にした。

「もしかして、まだこれが脱法ハーブだか何だかと勘違いしてる訳?」
「は?」
「だから、さっきも言ったじゃない!これは天然オーガニック100%なの!」
「だから、何なんだよ?!天然オーガニック100%の脱法ハーブ何だろ?」

2人のやり取りを聞いて、周りがザワザワと騒ぎ始めた。

そんな状況で1人冷静の彼女は、盛大な溜息を零し……。

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