CHECKMATE
「脱法ハーブは合成カンナビノイドを人工的に添加したハーブの破片で流通しているものよ。似た化学構造のものが出回るようになったみたいだけど、これは全く違うものよ!!」
「はっ?」
「信じないなら自分で確かめなさいよ!!」
彼女は手元の白い粉を促した。
千葉は意を決してそれを口にすると……。
「ん?!………甘い」
「甘くて当然よ!!天然オーガニック100%の粉糖ですもの!」
「へ?」
「だから、純度100%の砂糖なの!!解ったら、この手を離して!」
物凄い形相で睨まれた千葉。
彼女の言葉があまりにも衝撃的で放心状態になっていた。
言われてみれば、そうだと再認識した千葉。
脱法ハーブと謳われているが、決して天然オーガニック100%なんてモノは無い。
何故、今までそれに気づかなかったのか、不思議でならない。
突然の公休扱いを受け、更には追っていたブローカーの仙堂を見つけ、極めつけは謎の白い粉を手にして、誰もが疑わないだろう状況が揃っていたからである。
唖然としている千葉の目の前で、彼女は必死に純糖を擦り込ませていた。
程なくして、救急隊員が駆けつけ、女性は救急車で搬送された。