CHECKMATE
唖然とする夏桜に千葉は説明を始めた。
『刑事』という職業柄、いつ何時命を狙われるか分からない世界。
そんな千葉の身を案じる両親が、敵の目を欺く為などに二部屋を借り入れている。
そして、その片方の部屋を夏桜にあてがう事にした。
でなければ、同じ部屋に住む事になると説明すると、夏桜も渋々納得した様子。
『身柄安全確保』が第一の任務だという事にも触れた千葉は、夏桜が了承してくれた事に安堵した。
強姦紛いの事をした千葉を隣りに住まわせるなど常識的に考えて有り得ない事だが、打開策がある訳ではない。
千葉は玄関を開け、先に中に入ると、浮かない顏の夏桜も渋々中に入る。
「意外と綺麗なのね」
夏桜は室内を見回し、素直な感想を口にした。
千葉は夏桜の荷物をリビングソファの横に置き、一通りの部屋の説明を始めた。
部屋を確認し終えた夏桜は、
「千葉さんって、財閥の御曹司か何か?」
「は?」
「こんなタワーマンションの上層階に住んでるだけでも凄いのに、二部屋も借りる事が出来るって、相当お金持ちじゃなかったら無理でしょ」
「………」
「否定しないのね」
「あっ、いや……」
千葉は眉を顰め、視線を泳がせた。