CHECKMATE
夏桜の問いに即答出来ずにいる千葉。
髪を掻き乱し、呟くようにゆっくりとそれに答える。
「財閥ではないが………金に苦労した事は無い」
「………でしょうね」
夏桜は全てを悟ったような表情を浮かべ、ソファに腰を下ろした。
「で、ここで私はどうすればいいの?」
「………」
夏桜の言葉に拍子抜けした千葉。
今後の事をどう説明しようか悩んでいただけに、簡潔に問われると何と答えていいものか言葉に詰まる。
千葉もまたソファに腰掛け、夏桜をじっと見据えた。
そして、
「毎朝、俺が出勤する際に迎えに来る。日中は俺と組んでチーム『S』の一員として捜査に協力して貰い、帰宅の際は玄関まで俺が送り届ける事になる」
「では、買い物や外出の際は?」
「………同行させて貰う。それが嫌なら、少し距離を取って護衛するが、出来るだけ俺の傍を離れて欲しくないというのが本音だ」
「…………解りました」
夏桜は小さな溜息を零し、頷いた。