CHECKMATE
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「先生、………どうですか?」
「ん~、特に異常は無いね」
「はぁ……良かったぁ」
「では、次は3か月後に……」
「はい」
大学病院の診察室から、安堵の表情を浮かべ出て来た1人の女性。
彼女の名前は東 夏桜(あずま なお)26歳。
科学警察研究所 法科学第三部 化学第二研究室所属の国家公務員である。
今日は午後から有給休暇を使って、定期検診に訪れていた。
病院を出た夏桜は先程までとは打って変わり、生き生きとした表情で最寄駅へと歩き出した。
駅のホームで電車が来るのを待っていると、ポケットの中で携帯が震え出す。
夏桜はそれを手に取り確認すると、ディスプレイには『河村真希』の文字が表示されていた。
「真希先輩からだ!」
夏桜はパッと明るい表情になり、彼女からのメールを開いた。
『もう終わった頃かな?定期検診はどうだった?大丈夫だったでしょ?!』
河村真希は夏桜の5つ上で、職場の先輩である。
サバサバとした性格で面倒見のよい1番仲の良い同僚でもある。
そんな彼女にすぐさまメールを送信した。
『はい、特に異常は無いとの事です。明日は通常出勤します』