CHECKMATE
カフェを出た2人は寄り添いながら、大通りを歌舞伎町方面へと歩き始める。
千葉は夏桜の歩幅に合わせ、夏桜は千葉の腕に自分の腕を絡ませて。
「悪いな、こんな事までさせて」
「…………仕方ないですよ」
夏桜の耳元にそっと呟く千葉。
それに対して夏桜は、溜息まじりに呟いた。
千葉は青年実業家を装い、細身のスーツを身に纏っている。
そして夏桜は高級クラブのホステスを装い、少し派手目なホステス御用達のカラードレスを身に纏い、その上に豪華なコートを羽織っている。
そう、これは俗にいう『同伴』を装ったいでたち。
これは仕事だからと割り切る夏桜。
着慣れぬ衣装と履き慣れぬ踵の高いピンヒール。
化粧は勿論の事、ヘアスタイルも高級クラブ仕様にセットされているのである。
女は化粧をすると化けるとよく言うが、夏桜は清楚な感じの顏立なだけに、化粧で幾らでも化ける事が出来たのある。
昨日は水島とペアを組み、一昨日は剣持とペアを組んだ夏桜。
仕事とはいえ、こうも毎日派手な恰好をしていると、気持ちまで弾けたくなるのが女の性である。