CHECKMATE
「昨日思ったんだが、もう少し楽しそうに出来ないか?」
「え?」
「その、何だ……ホステスの営業スマイルとでもいうのか、作り笑いでいいんだが、色気を出して貰えると尚雰囲気が出るんだが……」
「…………」
生真面目すぎる千葉。
この状況下で夏桜に更に注文を出して来た。
そんな千葉に夏桜は………。
「色気って………こんな感じに?」
「ッ?!」
夏桜は空いている方の手を千葉の肩にそっと乗せ、少し背伸びをする感じに千葉の耳元に近づいた。
一見、イイ雰囲気の2人だが、実際の2人の間にはそんな空気は微塵も漂っていない。
夏桜がとった行動は、売り言葉に買い言葉。
まさにそれに相応しい仕草で………。
「あまり注文が多いと、私、拗ねますよ?」
夏桜は千葉の耳元でそっと囁き、何事も無かったようにスタンスポジションを取る。
「さぁ、行きましょうか?………千葉さん」
夏桜に軽く腕を引かれ、再び歩き出す2人。
決まっているお店がある訳でもなく、通り沿いの店舗周辺をザッと見て廻った。
そして―――――。