CHECKMATE
本来ならば、もう少し早い時間に合流する筈だったが、所定の場所にワゴン車が止まっていなかったのである。
機転を利かせた千葉は夏桜を連れ、暫し遠回りしてこの場所に辿り着いたのだった。
剣持の投げ掛けに一瞬にして表情を変える千葉。
だが………。
「今の所、これといって怪しい感じは無いな」
千葉は溜息まじりの首を横に振ると、
「そうか……」
神保もまた、脱力気味に溜息を零す。
すると、
「あの……」
「ん?」
突然、夏桜が口を開いた。
「皆さんが追ってる方ではないのですが、気になる人が……」
「誰だ、そいつ」
「………」
夏桜の言葉に3人の視線が一斉に注がれた。
夏桜はゴクリと唾を飲み込み、ゆっくりと話し始める。
「この数日間、皆さんとあちこち歩きましたけど、必ずと言っていいほどすれ違う人が居るんです」
「「はっ?!」」
見事なまでに千葉と剣持の声が被った。
神保は声にしなかったが、2人と同じ表情をしている。
そんな3人に夏桜は………。