CHECKMATE
「剣持さん、言ってましたよね?『同伴』って、ご贔屓さんを連れて出勤する事だって」
「………あぁ」
「出勤という事は、その後は店内で働くって事じゃないんですか?」
「………まぁ、普通はそうだよね?」
世事に疎い夏桜に、この作戦を始めるにあたり、剣持が状況を説明したのである。
「稀に客に呼び出されて出る事もあるけど、通常あまり無いですよね?」
「………あぁ」
剣持の問い掛けに千葉が答える。
けれど、その表情は未だに腑に落ちないといった表情だ。
そんな千葉の表情を察してか、夏桜は更なる爆弾発言をする。
「同伴以外に外でする事ってどんな事ですか?」
「「はっ?」」
意味不明な質問に3人が再び固まった。
けれども、夏桜は至って真剣である。
「剣持さんが言うように呼び出されたとして、ホステスが外に出て………その………」
淡々と話していた夏桜が突然言葉を濁した。
3人から視線を逸らし、俯き加減で言葉に詰まっている様子。
夏桜が何を言いたいのか、サッパリ分からない千葉は、
「気になる事があるなら、ハッキリ言ってくれ。……これは、仕事だ」
一喝するように、じっと夏桜を見据えた。