CHECKMATE


駅から歩く事、約10分。
地図ナビに表示のある目印のカフェを発見した夏桜。

「あっ、あれだ!」

思わず足早になり、気持ちも昂ぶり始めた。

大通りに面しているお洒落なカフェ。
そのカフェの脇道を入って行くと、目的地のビルがあると表示されている。

「一体、どのビルかしら?」

大きなビルの影にひっそりと佇むように、差ほど高くないビルが立ち並んでいた。
路地裏とも言うべきか、回廊状にアスファルトの道が続く。

夏桜は不安になり、今一度地図を確認する事に。

視線を落とし、ディスプレイを覗き込んだ、次の瞬間!!

「あっ、すみません!少しの間、付き合って下さい!!」
「へ?」

殆ど人気のないようなビルの谷間で、突然目の前に現れた長身の男が、突如、上着を脱ぎ始めた。
あまりの突然の出来事と、更には予想も出来ない男の行動に放心状態の夏桜。

何故か、夏桜は目の前の男の動作から視線を逸らす事が出来ずにいた。

すると、脱いだ筈の上着を何故か再び袖を通したかと思えば、突然その男は思いもよらない行動に出た。

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