別れる理由
ピンポーン。
来たか……。
玄関のドアを開けると
そこには笑った凛がいた。
「お邪魔しま~す」
凛はリビングに入ると買ってきた紙袋をテーブルに置いた。
「さぁ!掃除しよっか。こんなに汚くしてちゃダメだよ」
俺は凛を後ろから抱き締める。
「ちょっ…どうしたの?」
無言のまま腕に力を込めた。
「苦しいよ。お兄ちゃん」
そうだ……これが現実。
好きな人なんかじゃない。
俺は妹を愛してしまったんだ。
報われない愛を選んだ。
出口も無ければ光も見えない。
迷宮に迷い込んでしまった。
それでもいい。
この想いが届かなくても。
凛だけが傍にいてくれれば…。
FIN