泣きたい夜には…~Shingo~
悲しみを帯びた目は、あの時のひとみと同じ…
恐らく彼女も辛い別れを経験したのだろう。
でも、彼女のおっとりとした口調の中に隠された芯の強さを見たような気がした。
とてもじゃないが、俺では歯が立たない。
いったいどんな男が彼女を口説き落とすのだろう。
「ありさちゃーん!」
背後から男性の声が聞こえてきた。
振り返るとブランドのスーツに身を包んだ長身の若い男性が手を振りながらこちらに近づいて来るのが見えた。
男の俺が言うのもおかしいが、センスもいいし、かっこいい!
確か彼は実業家でテレビ出演も多い。
えと…誰だっけ?
もしかして、この人が高山さんの彼氏?
「あ、和磨くん!じゃ、ビジネスパートナーが来たからこれで…」
高山さんは軽く会釈をすると、彼と高級車に乗り込み、どこかに走り去ってしまった。
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