泣きたい夜には…~Shingo~
偶然は必然か!?



翌日、スマホのアラームで目が覚め、ゆっくりと起き上がってみると、熱が下がったのか昨夜感じていためまいと全身倦怠感はすっかりなくなっていた。


でも、部屋の中には彼女の姿はなく、『仕事に行く』というメモと朝食、戸締まりのためのスペアキーがテーブルの上に置かれていた。


彼女が用意してくれた美味しい朝食をありがたく頂戴し、食べ終わった後食器を洗ったのだが、勝手に食器棚を開けるわけにもいかず、テーブルの上に置き、礼を書いたメモを残して部屋を後にした。


結局きちんとお礼も言えず、名前すら聞くこともできなかった。


部屋を出る時に、部屋番号と玄関ドアに掛けられたプレートに“ASAKURA”と書かれていたことはしっかりと確認した。


301のアサクラさんか…


あれから1週間が過ぎ、まだきちんとお礼を言っていないなんて、社会人としてどうよ。


まずい、絶対まずい。


今度会ったら、お礼を兼ねて食事に誘ってみよう。



.
< 12 / 156 >

この作品をシェア

pagetop