泣きたい夜には…~Shingo~



ようやく病院の建物が見えて来た。


駐車場に車を停め、病院を見上げた。


院長のところは一人娘だと聞いた。


彼女と結婚すればこの病院は俺のものになる。


いや、あの院長の娘だ。


一筋縄じゃいかないだろうし、俺のことを気に入るとは思えない。


違う!


そうじゃない!!!!


そんなことなんか、どうだっていいんだ。


俺にはもっと大切なものが、


手に入れたいものがある。


この話を断ったら10人中10人が、「もったいない!」とか「お前はアホか!」そう言うだろう。


それでもいい。


院長室へと足を進め、気持ちを落ち着かせるべくゆっくりと深呼吸をした。


コンコン!コンコン!


ドアをノックすると、


「どうぞ」


中から院長の声が聞こえた。



.

< 134 / 156 >

この作品をシェア

pagetop