泣きたい夜には…~Shingo~



ひとみは院長に詰め寄り、両手で机をバンッと叩いた。


「お父さん、どういうこと?説明してちょうだい!!!!」


お、おい…。


予想外の展開に頭の中は混乱したままで、


「いいじゃないかお前達の結婚を許すって言っているのだから」


院長は悪びれる様子もなくさらりと言った。


けっ…


結婚!!!?


「お、お父さん!!!またそんなこと言って!慎吾が迷惑しているでしょ!!!?」


顔を赤らめながらも反撃の手を止めないひとみに院長は意地悪な笑みを浮かべると、


「何言ってるんだ、お前達が付き合っていることは全てわかっているんだよ!」


院長の話によると、

ひとみが医者になろうと自分が選んだ医者と結婚させると決めていたのだが、自身の経験から医者が病院経営まで
行うというのはなかなか行き届かないところもあるということを痛感し、経営能力に長けた相手を探していた。


ということらしいのだが、どういうわけなのか俺に白羽の矢が当たったらしい…。


だが、本当に俺が適しているのかどうか、色々と調べているうちにひとみと交際していることがわかったということのようだ(この後、院長には、勝手に調べてすまなかったと何度も謝られてしまったのだが…。)


一連のことは、俺がひとみのことをどう想っているのかを知りたくて仕組んだものと思われる。



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