泣きたい夜には…~Shingo~



「院長、これからひとみさんをお借りしてもよろしいでしょうか?」


ひとみの父親である院長をまっすぐ見て言った。


尤も、ダメと言われても連れ出していたとは思うが。


院長はクールな笑みを浮かべて、


「明日の夜までには帰してもらえるかな?大事なひとり娘なんだから…いい結果を楽しみにしているよ」


そう言うと、親指を立て、颯爽と院長室を後にした。


「はぁーっ!!!!」


き、緊張したぁぁぁ!!!


全身の力が抜け、その場にしゃがみこんだ。


これは上手くいったということでいいのだろうか?


ひとみは、というと、


「何だかドッキリに引っかかったような感じ」


俺以上に今の状況に着いていけてない様子。


そんなひとみに、


「メシでも食いに行くか?」


そう言うと、ひとみは、


「うん!行こ行こ!!!!」


笑顔で頷いた。



.
< 139 / 156 >

この作品をシェア

pagetop