泣きたい夜には…~Shingo~



会話が聞こえないのでよくわからないが、感情的になっているアサクラさんを男性医師が宥めている、そんなところなのだろう。


とても円満な話し合いには見えない。


ふと、アサクラさんから発せられていた寄せつけないオーラは男性医師がいるから?


そう直感した。


彼女のようないい女がひとりでいるわけがない。


軽いショックを覚えつつ、妙に納得する俺がいた。


いけないと思いつつもふたりから目を離すことができない。


「えっ……」


アサクラさんが男性医師の頬を思い切り叩いた。


「おい、マジかよ…」


男性医師に向かって何かを叫ぶと泣きながら走り去って行くアサクラさん。


頬を押さえ、彼女の後を追いかけることもせず、悲しげな目で追う男性医師。


二人の間に何があったのか?


どう見てもあれはハッピーエンドではない。


この状況に当てはまる言葉は破局。



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