泣きたい夜には…~Shingo~



車を降りて着いた先は串焼き専門店。


帰国早々、しかも2年ぶりの再会で居酒屋というのも何だか悪い気がして、このようなチョイスをしてみた次第で。


「うーん、懐かしい」


目を輝かせて店内を見回すひとみは2年前と同じ。


休日前にも関わらず運良く個室が空いていた。


やっとふたりでゆっくり話が出来る。


靴を脱ぎ掘りごたつ式の座席に足を伸ばす。


「あぁ、ずっと土足生活だったから解放された感じ。やっぱり日本がいいわ」


そのままゴロンと横になりそうな勢いのひとみだったが、


「このまま横になって寝たら置いて帰るぞ」


意地悪く言うと、跳ね起きて、


「寝るわけないでしょ?さ、焼き鳥食べるんだから!」


そう言い返すと、メニューを開いた。


ひとみは満面の笑みを浮かべて、


「うわぁー!!食べたいものがいっぱい!!!!」


無邪気さは変わっていない。


思わず笑みが零れる。



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