泣きたい夜には…~Shingo~



「もうっ、何ニヤニヤしているのよ~!」


ひとみが俺を優しく睨む。


「ひとみが変わってないから安心したんだよ」


ひとみはクスッと笑って、


「慎吾だって変わってない、だから安心した」


料理の注文はひとみに任せ、ひとみはビール、車の俺は烏龍茶で、


「お帰り、ひとみ。アメリカ研修お疲れ様」


労いの言葉をかけると、


「ただいま、慎吾。帰ってきたよ」


恥ずかしそうに微笑むひとみとグラスを合わせた。


「何だか私ひとりで飲んで申し訳ないわね」


そう言いながらも相変わらずひとみの飲むペースは早くて、


「まぁ車だし、気の済むまで飲んでいいぞ。その代わりうちで飲むから付き合えよ」


酒なんていつでも飲めるんだし、俺に気兼ねせずに飲めばいい。


今夜は特別な夜なんだから。



「あんまり飲みすぎると時差ボケですぐに眠くなっちゃいそうだからほどほどにしておくわ」


俺に遠慮したのか、日本酒をメインに飲み、ひとみにしてはセーブした飲み方だった。


料理を味わいながら、


俺は東京本社でのこと。


ひとみはアメリカ研修のこと。


時間を忘れて語り合った。



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