泣きたい夜には…~Shingo~
「あっ、もうこんな時間?すっかり話し込んじゃったね」
ひとみは時計を見ながら驚きの声を上げた。
「出ようか?」
店を出るとひとみは、
「さぁ、これから慎吾んちにしゅっぱーつ!」
何故かハイテンションで…。
「いや、その前に行きたい所がある。付き合ってくれないか?」
ひとみは機嫌良く
「りょうか~い!」
ほろ酔い加減のひとみを乗せて車を走らせた。
これから何が起ころうと、今夜は俺にとって生涯忘れられない夜になるだろう。
助手席のひとみを見ると、長旅の疲れもあったのだろう、いつの間にか爆睡モードに突入していた。
そんな様子に苦笑しながら目的の場所に車を走らせた。
ふと空に目をやると、一筋の光がスーッと尾を引いて飛んでいくのが見えた。
「流れ星か」
消えないうちに3つ願いを唱えると、願いが叶うと聞いたことがある。
3つとは言わない。
ひとつでいい。
ただひとつ、願いが叶うようにそっと呟いた。
「ひとみ…」
助手席のひとみは夢の中で何を見ているのだろう。
無邪気な寝顔で…